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コロナ禍で日本の自殺者数が増加

2022年08月09日

コロナ禍で日本の自殺者数が増加

 

 

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下での自殺の理由を、

詳細に検討した結果が報告された。

 

男性では主に仕事のストレスや孤独感、

女性では家庭・健康・勤務問題

が動機と考えられる自殺が増えているという。

 

これまで緩やかに減少傾向であった日本の自殺者数が、

COVID-19パンデミック下で増加に転じたことが報告されている。

 

特に女性における自殺者数の増加は、

これまでにない傾向である。

 

 

ただし、

パンデミック下で自殺既遂に至った人の動機の傾向は明らかになっていない。

COVID-19パンデミック下で増加している自殺理由を明らかにし、

自殺予防対策を講じることは、公衆衛生上の重要な課題である。

 

警察庁が集計し厚生労働省が公表している自殺統計データを用いて、

自殺理由の詳細な検討を行った。

 

 

 

 

実際の自殺死亡者数が予測値の95%予測区間の上限を超えた場合を

「自殺による超過死亡(何らかの原因により通常の予測を超える死亡者数の上昇)の発生」と定義した。

 

また、予測値に対する実際の自殺死亡者数の比を、

「自殺による超過死亡割合」とした。

自殺の理由は、自殺対策基本法に記載されている7つの大項目

(家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他)

と不詳以外の52の小項目別に検討した。

 

 

2020年1月~2021年5月の自殺死亡者数は2万9,938人であり、

そのうち自殺の理由が記されていたのは2万1,027人(男性が64.7%)だった。

前記の自殺理由の大項目7つ全てについて、

超過死亡が発生していた月が確認された。

 

最も高い超過死亡割合は2020年10月の25.8%であり、性別では男性が6.1%、

女性は60.8%に及んでいた。

女性の数値は、緊急事態であると捉えてよい。

 

 

小項目別では、男性は失業による超過死亡が発生した月が1回あり、

その超過死亡率は42.9%に達していた。

 

そのほかに、

仕事の失敗による超過死亡が複数の月で発生し

〔超過死亡割合(複数月で超過死亡を認めた場合は最小値~最大値で表記)3.4~6.9%〕、

仕事疲れ(同2.0~34.1%)、

職場の人間関係(18.6%)、

職場環境の変化(8.3%)、

孤独感(7.4~25.0%)

などの理由による自殺の超過死亡が認められた。

 

 

女性では、

親子関係の不和(4.2~4.5%)、

夫婦関係の不和(4.3~39.1%)、

子育ての悩み(22.2~40.0%)、

介護・看病疲れ(25%)、

身体の病気(15.4~20.4%)、

うつ病(15.1~34.2%)、

統合失調症(26.1%)、

アルコール依存症(45.5%)、

学友とのトラブル(60%)

などの理由による自殺の超過死亡が認められた。

 

 

COVID-19パンデミックの日本人の自殺は、さまざまな理由で増えており、

性別により理由が異なることが明らかになった。この結果は、

パンデミック禍での自殺者数の増加に対して、

性別によって理由が異なることを念頭に適切な予防策を策定するための基礎資料となり得る。

 

なぜ人は自殺へと至るのか。

 

衝動的に自殺で亡くなるのではなく、

多くは、複合的な悩みや課題が連鎖する中で、

「もう生きられない」「死ぬしかない」と、

追い込まれた末に亡くなっているのだという。

 

 

具体的には、失業者であれば、仕事を失い、

生活のためにと借金を重ねるようになり、それが多重債務となる中で、

家族の関係が悪化、精神的にも追い詰められてうつ状態になって

自殺で亡くなるといった「自殺の危機経路」である。

生活保護や自己破産などの選択肢もあるが、

心身共に追い詰められた状況では冷静な判断ができず、

また「そんなことになるのは恥だ」といった先入観や、

周囲に迷惑をかけたくないといった理由などで、

自殺に至ってしまう人もいるという。

 

「『自殺』と言っても、自ら積極的に命を絶っているのではありません。

自殺の背景に潜む経済的な要因や、自殺の危機経路からも分かるように、

自殺は極めて社会的な問題です。

もう生きていくことができないと、

追い詰められた末に『自殺』で亡くなっているのです。

自殺をタブー視するのではなく、もっと社会的な問題として、

みんなで考えていく必要があると思います」

 

 

 

急増する若者の自殺。「自分らしく生きること」の難しさ

 

自殺のリスクが高まるのは、

『生きることの阻害要因』

『生きることの促進要因』を上回ったとき。

 

つまり、生きることを後押しするさまざまな要因の全体よりも、

生きることを困難にさせるさまざまな要因の全体の方が大きくなった状態のときです。

裏を返すと、いくら阻害要因が大きくても、

促進要因の方がそれを上回っていれば自殺のリスクは高まりません。

促進要因の中には、将来の夢や信頼できる人間関係、

ライフスキルや信仰などがあります”

 

 

 

自殺ではなく生きる道を選ぶようになるような報道を。

 

 

女性の自殺率の高さも問題となっている。

その背景には、暮らしや仕事の問題(非正規雇用の多さなど)や、

ステイホームによるDV被害、育児の悩みの深刻化があるのではないか。

ただ同時に、メディアの自殺報道の影響が過剰なほどあると思われる。

「2020年の7月半ばには有名な若手俳優、

9月末には著名な女優の自殺がありました。

データを見れば明らかなのですが、

自殺報道のあった次の日から自殺者数が急増しています。

 

もともと心理的に不安を抱えていた人たち、

とりわけ女性や若者たちが影響を受けた結果だと考えるのが自然だと思われます

 

WHO(世界保健機関)は、

2017年に『自殺報道ガイドライン』で「やるべきではないこと」と「やるべきこと」を

明記しており、政府もメディアに向けた注意喚起を行っている。

そこには、

「自殺報道を目立たせず、過度な報道は避けること

「自殺手段を伝えないこと」

「支援先の情報を載せること」といった注意書きがある。

「大手のメディアはこういったことに配慮するところが増えてきていますが、

それでも『速報』で著名人の自殺のニュースが伝えられ、

それがネットを介して一気に拡散されていく。

結果、多くの人が大量の自殺報道に知るという

『避けるべき事態』が起きてしまっています」

 

こういった知名度の高い人の自殺報道によって影響を受けてしまう現象を

「ウェルテル効果」と呼ぶ。

一方で「パパゲーノ効果」というものがある。

 

パパゲーノ効果とは、

自殺を減らす方向に働く自殺報道のことです。

自殺を考えている人が、自分と同じような状況の人が生きる道を選択した

ストーリーに触れて、『自分も生きよう』と、

自殺ではなく生きる道を選ぶようになる効果のこと。

 

 

自殺は個人の問題ではなく社会の問題である。

 

新型コロナ禍の中、

職を失うリスクや、メンタルを病む可能性は誰にだって起こりうる。

その最終的な「逃げ場」が自殺であってはならない。

加えて言うならば、

コロナ禍という「環境の変化」が、うつ病の発症また自殺への

道筋になってはいけない。

人間である以上、環境の変化は、つきものではあるが

極力、環境の変化には順応していきたい、また、していかなければならない。

と、思う今日この頃です。

 

 

では、今回はこの辺で失礼します。

ありがとうございました。

 

 

 

心を和らげる相談室 HEART     代表    杉野 茂広

 

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