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あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART30

2022年01月30日

本来であれば、「対象喪失」の続きで今回は、

「白木 葉子」なのでるが、葉子に関しては、表向きの場面しかなく、

大きな苦悩、トラウマも抱えていない様子から、資料不足もあり、

掘り下げるのが不可能であるので、割愛させて頂きます。

 

変わって、

 

「力石の死は、ジョーの死をも意味する」

 

ジョーは、力石を倒し、乗り越えることだけが当面の目標となった。

 

力石も、ジョーに応えるかの様に、

2階級もの、想像を絶する減量によって、フェザー級からバンタム級に降りた。

バンタム級計量リミット 53.52kg

フェザー級計量リミット 57.15kg

 

計量リミットを見ると、フェザーとバンタムでは3.63kgしか変わらないが

常に絞られた体から3.63kgを落とす事は、非常に困難であり、危険である。

 

【訂正とお詫び】

現在のボクシング階級で2階級であるので、今まで2階級差と表現してきました。

当時は、「スーパーバンタム級」が無かったので、正確には1階級です。

正確さに欠ける表現をして申し訳ございませんでした。

都合上、このまま2階級で続けさせて頂きます。

 

力石との最後の闘いでジョーは、

「確かにケタが違うんだ」と思いながらもぶつかった。

 

これを受けた力石はジョーの力に満足し、その成長を喜ぶかのように戦う。

第8ラウンド、

右ストレートをかわし、得意のアッパーカットを決めてダウンを奪う。

ジョーをダウンさせた時は10カウントが終わるまでに、勝利を確信し、

笑みを浮かべながら「終わったなぁ、何もかも」と一言残している。

 

「参ったぜ、力石、あそこで止めのアッパーで来るとはな。

流石、力石だ。参ったぜ」 と

言いながら握手を求めるジョーに対して右手を差し出すが、

その握手は交わされることなく空を切り、そのままこの世を去った。

 

人生の目標でもあった愛情対象の力石を失ったジョーは、

深い悲しみと異常な罪悪感で自分自身をも失い、

虚脱状態に陥ってしまった。

 

 「力石徹だけが、ひとりの男の持てるありったけを叩きつけて、

  一切の欲得抜きで・・・もつれあうように生きてきた・・・・

                   男と男の魂の語らいだった」

 

「力石が、これほどまで慕わしい存在に思えてくるなんて」 ”

と、いうジョーの心の中は、半身を失ったほどに、

悔やみきれない気持ちで一杯であったはずである。

 

明らかに、

力石に対して抱いていた相反する気持ちがジョーを悩ませた。


無意識の中で「内なる父親」として同一視し、

意識の上では「恨み続け」ていた対象だけに、

なおさらである。

 

 

 

 

ジョーの再生

 

この一体化していた対象である力石の死は、

ジョー自身の実質的な死をも意味していた。

 

なぜなら、力石の死を償うためにも、

原因となった最も得意とするテンプルへのパンチを捨てざるをえなかった。

 

そのため、顔面のパンチが全く打てなくなってしまい、

一時期、ボクシングが全く出来なくなった。

 

これは、

ボクシングを通して新しい生き方を見いだしつつあったジョーにとっては、

生きることを放棄し、死んだ状態になることと変わりない。

 

「力石の死」と言う対象喪失が大きく影響してる

 

対象喪失について以下の文献がある

「対象喪失」の悲哀の心理過程は、半年から一年ぐらい続くのが常であるが、

その間に人々は、失った対象に対する思慕の情、悔やみ、恨み、自責、

仇討ち心理をはじめ、その対象とのかかわりの中で抱いてきた、

さまざまな愛と憎しみの「アンビバレンス」を再体験する。

そして、この心の中での悲哀の心理過程を通して、

その対象とのかかわりを整理し、

心の中でその対象像をやすらかで穏やかな存在として

受け入れるようになっていく ”

 


アンビバレンス とは、

“「愛憎感情」のことで、人が持つ思考や興味などにおいて、

二つの対立した感情が同じ時期に存在することを意味。

つまり、ある一つの対象において、「愛と憎しみ」のような気持ち、

「好きである反面嫌いでもある」というような感情を指す。”

 

力石の死という、深い対象喪失の状態から、心の整理をし、

復帰することは、

ジョーが新たに生れ変わることを意味する。

 

人間だれしも新たに生まれ変わるときには、

必ず何らの死(失くすことも含まれる)を体験し、

これを乗り越えなければならない。

 

ほんの瞬間にせよ、まぶしいほどに真っ赤に燃え上がるんだ。

 そして、あとには、真っ白な灰だけが残る。

 燃えカスなんかのこりゃしない。 真っ白な灰だけだ。

 そんな充実感は拳闘をやる前にはなかったよ”

 

燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな”

 

と、ジョーが残した言葉は、幼児期からの自分をこの時点で清算し、

再生を誓った言葉でもあると言える。

 

 

今回をもって

あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~

を、少しお休みしたいと考えております。

 

ブログは更新していきますので、

今後も宜しくお願い致します。

PART1~30まで、お読み下さった方々に感謝致します。

 

ありがとうございました。

 

少し、人格、特に解離性同一性障害(多重人格)に重点をおいて

行きたいと思っています。← 恐らく、短期間集中で終わります。

 

では、再びですが、感謝!

ありがとうございました。

 

 

心を和らげる相談室 HEART     代表  杉野 茂広

 

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