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あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART27

2022年01月26日

「対象喪失」の体験を持つ三人

 

 

「強くなければならない・・・・」

 

「俺が物心ついてからというもの、世の中の奴等は

  どいつもこいつも、

一歩隔てたところからしか俺に接しようとはしなかった」

と、ジョーは、これまでの自分の人間関係を語っている。

 

ジョーにとっては、アドラーが述べている

「男性優位社会では、受け入れられ認められる為には

   強くならなければならない」 ことが、

唯一の精神的なよりどころであった。

これに基づいた行動が、徹底した反社会的行為となって表れたのである。

 

ジョーが、

自分の存在感を認識できるのは、粗野に振る舞い、

暴力的行為を働くことによって、他人から腕力の強さを評価されるとき”

だけであったのであろう。

 

この様に、社会的関心の発達が阻害されたジョーは、

円滑な人間関係を結ぶのに必要な他人に対しての

配慮や良心に欠けただけでなく、

自己制御力や罪悪感までも失っていた”

 

しかし、このような状態で円滑な人間関係を結べなかったジョーも、

愛をもって接してくれた段平に出会ったことで、

「存在の証明」であるパンチの強さを実感できるボクシングを通じて

社会へ復帰していく。

 

 

主要キャラクターの不遇

 

全ての人間はさまざまな人間と何らかのかかわりをもって生活している。

そこでは、容姿や言葉遣い、正確・行動などの情報を収集し、

自らの経験や先入観的枠組みでとらえて、相手の行動を理解する。

この理解に基づき、

相手に対する自分の安定した態度や行動を作りあげる。

幼児期における体験が、この態度を作りあげるうえで与える影響は大きい”

 

しかし、この態度や行動は心理的側面が中心となるので、

人間的環境に適応して変化する。

 

このように、

ひとりの人間を取り巻く環境は、態度や行動に大きな影響を及ぼすのである”

 

ジョーに強い影響を及ぼした人物は、

「丹下 段平」・「力石 徹」・「白木 葉子」である。

三人に共通するのは、「対象喪失」の体験を持ち、

その心の傷が十分に解決されていないことである。

 

「丹下 段平」は、

日本タイトルに挑戦直前に眼をやられ、やむなく引退。

ジムをもったときも選手に逃げらた上に、ボクシングジム会長の

 ライセンスまで剥奪され、拳闘界から追放され、妻も子もいない

片目の負け犬” であると自分で言う。

 

「力石 徹」は、

“コミッショナーから無期限停止処分を受け、更に暴力事件を起こした為に、

少年院に収容された。”

 

「白木 葉子」は、

経済的に恵まれた家庭に育ちながら、

祖父以外の家族とは行動を共にしない。

また、口から出るのは祖父のことばかりで、

そこに両親の影は全く見られない。

このことから、実質的に両親を喪失していると推測される。”

 

 

 

と、いう主要な登場人物の殆どが「対象喪失」の体験者と推測できる。

 

それぞれ、要因は異なるが、これほどまでに「対象喪失」体験者が

偏ったストーリーとなるとまとめあげるのに大変な労力が必要だったと感じる。

 

 

今回は、ここまでとします。

いつも、ありがとうございます。

次回は、

キャラクターの役割を交流分析の方面から見てみたいとおもっています。

 

 

心を和らげる相談室 HEART  代表  杉野 茂広

 

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