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あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART22

2022年01月20日

「なぜ、俺は立つんだろう・・・?」試合中の自問自答

 

ジョーは、強い対戦相手であればあるほど、ダウンされる度に

「なんで・・・なんで、立っちまうんだ・・・」

と、自問自答する場面がいくつかある。

 

この「内生的」な理由は東洋バンタム級チャンピオン

金 龍飛(韓国)との試合に於いて、更に明確に認識される。

 

金戦の途中(5ラウンド)までは、

自身の成長と段平の画策で減量が失敗したにもかかわらず、

"自分の事を「減量の下手くそな満腹ボクサー」

(金に意識下に埋め込まれた)

と考えるなど、相変わらずの強固な「内的統制型」の性格が見られ、

ハングリーな金に対し劣等感を感じる。"

 

 

しかし、

6ラウンドには、ジョーの原因帰属が大きく変わった。

 

"金のハングリーさを「食わなかった」のではなく「食えなかった」と、

金にとっての「外的安定」要因である ”父親殺し” の「トラウマ」に

帰属することで、自身の劣等感を克服した。"

 

 

 

トラウマとは

心理的に大きな傷を与える経験のことであり、

個人的に処理することのできないもの。

 

 

ここでは、環境要因も含まれている。

金の育った幼少期は、

南北戦争時代で食べたいものも食べれなかった時代。

比較要素として

ジョーは力石のフェザー級からバンタム級に降りて来てまで、

ジョーと戦った力石を思い出す。

 

"力石は「飲まなかった」・「食わなかった」と

力石の意志(内的変動)を強調し、

ジョー自身を力石と同一視することで、

逆転のエネルギーとしている。"

 

この時点で、ジョーの中で”くすぶり続けていた”漠然とした

戦うことへの「内的」な理由は、明確な戦いの「意志」へと

具体化していったのである。

 

一般に、

こうした「内生的」な理由は、自己知覚の過程により認識される。

 

人は、日常生活における自分の行動について、

その原因となっている内部状態を把握できる訳ではない。

 

"自分に行動を起こさせる内部状態が、どの様なものであるかを

はっきりと認識できない時、人は他人の行動の原因や意図を推測するのと

同じように、 ”それ” を推測する"

 

 

つまり、自分自身の心の状態を、自分自身の行動や、

その行動が生じた状況の観察から推測することにより、知るのである。

 

 

「なぜ、俺は立つんだろう・・・・?」

 

ジョーは、金戦の最中に、何度も自問自答している。

 

この自己知覚は、特に「内的」手がかりが弱く、曖昧な場合、

自分でも説明不可能な場合に生じるのである。

 

ジョーの場合、力石の死後、打倒力石の為の拳闘を続ける理由は

明確ではないはず。

 

それでも、ジョーは苦しみながら拳闘を続けた。

 

ここにもジョーの人間らしさが感じ取れる。

 

恐らく、ジョーは拳闘を通じて、多くの人に感動を与えてきた喜びを

意識下では感じていたはずである。

少なくともクロスカウンターによるダブル・KOを力石と演じることで、

少年院の仲間に与えた感動はジョーの心に焼き付いているはずである。

 

拳闘を通じて「良い気分」でいる自分を観察すること、

拳闘を通じて多くの人と繋がりを持てたこと。

 

それが、

「自分は拳闘が、戦うことが、好きなんだ」という錯誤帰属

ジョーに起こさせ、漠然とした「内的」理由を、戦う意志へと

具体化させたと考える。

 

自分の肉体が ”パンチ・ドランカー” にむしばまれていくのとは

うらはらに、この「内生的」理由は、

世界バンタム級チャンピオン ホセ・メンドーサ戦に向けて

更に昇華していくことになる。

 

錯誤帰属とは

謝った原因への帰属であり、主に認知的な誤りによって生じる

 

 

 

 

今夜は、ここまでにします。

いつも読んでくださる方、ありがとうございます。

励みになります。 

感謝。

 

心を和らげる相談室 HEART   代表  杉野 茂広


 

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