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あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART20

2022年01月18日

「あした」への期待

 

ジョーは、少年鑑別所でマンモス西を「打ちのめした」結果を

 

”「こういうのを見掛け倒しっていうんだろうな、

   まあ、俺のパンチが強すぎたのも事実だが」”

 

と、発言している。

 

これは、西や自分の「能力」への「内的安定」帰属である。

 

この場合、「打ちのめした」原因が「能力」に帰属しているので、

同じような状況では、再び「打ちのめせる」と予測できる。

理由は、

「能力」は今日と明日とでは、そう大きく「変動」しないからである。

 

このことは、裏を返せば「打ちのめされた」経験でも、

その原因を「努力不足(内的変動)」に帰属すれば、

「努力」の仕方によっては、次は「打ちのめされない」と思う事ができる。

 

つまり、同じような結果でも、原因帰属が異なると、

その後の行動が変わってくるのである。

 

 

 

力石との出会い

 

力石によって脱走を阻まれ、「打ちのめされた」ジョーは、当初

「ああまで、ハッキリと違うものか・・・」”と、

いったんは、その結果を「能力の差(内的安定)」に帰属した。

 

だが、

「野郎、確か・・・

    段平おやじに通信教育されたジャブはプロなみだが・・・

  他のパンチは子供騙しだとぬかしたな」” と、

力石の言葉を思い出し考え直す。

 

 

 

 

「いまに、おめぇをぶちのめして」” と、

敗因を「努力不足(内的変動)」のせいだと帰属を直し

「あしたのために<その2>」の修行に励む。

「努力」は、ときにより変動する要因なので、今日よりも明日に

期待がかけられたのである。

この帰属過程から、ジョーにとっての拳闘は、

当初、打倒力石の手段でしかなかったことが推測できる。

 

よって、

少年院時代のジョーは「内生的」な理由で拳闘をしていたのではなく、

打倒力石という「外生的」な理由でそれをしていたのである。

 

事実、

力石の少年院出所後、ジョーは少年院での試合を圧倒的な強さで

勝ち続けたが、少しも喜ぶ姿は見れていない。

 

 

「宿命」のふたり

 

凶暴な野獣そのものと呼ばれたジョーだが、

その言動は時に意外なほど、

人間味に溢れている。

 

このことは、後楽園ホールで行われた、念願の力石との対戦実現を

「宿命」に帰結したことに端的に表れている。

 

ジョーは少年院へ送られる車の中で

「自由だけは、この俺の腕力でなんとかもぎとって生きてきた」

 と、断言している。

この言葉を信用するなら、ジョーは原因帰属において、

強い「内的統制型」を示すタイプといえる。

 

内的統制型 とは

世の中は自分を中心に動いていると思うことは、

当たり前で、賞罰を受けたり、成功や失敗を経験した時、

それが「外的」なものによって引き起こされた

とは考えないで「能力」・「努力」などの自分で左右できる

「内的」原因で決定されていると考えやすい。”

 

しかし、そのジョーが力石との対戦の実現を最終的には「宿命」 

として「外的安定」に帰属している。

 

 

長い間、執念を燃やし、力石を挑発し、努力を重ね、

命をかけてリングにあがるのだが、対戦が実現した時には

「宿命であった」という非常に強固な「外的安定」理由に 

帰結した。

 

 

この帰結は「内的統制型」のジョーにとって全く論理的な帰属ではない。

 

なぜなら、

大変な努力を重ね、積年の夢を自分の力で実現したにもかかわらず、

「そこに至るまでの努力」は

「そこに至った満足」と引き換えに脳裏から消え、

あたかも「そこに至ることが定められていた」かのように

「宿命」へと「外的安定」帰属をしたのである。

 

このような、

「人事を尽くして天命を待つ」の様な帰属は、意識レベルにおいて

「能力」を成功の最終帰結とはしない

人間味のある帰属の仕方と言える。

 

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

今回は、ここまでとします。

 

次回は「消せない罪の意識」で行きますので、

良かったらまたお願い致します。

 

 

心を和らげる相談室 HEART  代表   杉野 茂広

 

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