2022年01月16日
恐喝をはじめ詐欺、窃盗、器物破損などの罪を重ねた少年時代。
リングではウルフ金串の顎を砕き、力石を死に至らしめた。
矢吹 丈
「野生の殺し屋」
「地獄からの使者」
などの異名をとり残忍で非情で利己的な性格ばかりが強調されている。
しかし、一方で、
直接、ジョーに接した誰もが人間的な ”何か” を直観的に感じ取る。
その直感的に感じるものとは”何か?”
ジョーが死闘の世界で見せた人間らしさとは何なのか。
今回からは社会的心理学での「帰属的理論」から、
ジョーの行動に関する人間味を因果的な枠組みでみてみたい。
TV版 あしたのジョー2 第1話「そして、帰ってきた・・・」より
ゴロマキ権藤(金で雇われる喧嘩屋)との会話でも
”この何か” が伺えるシーンがある。
この時期、ジョーはリングを降りて、流離人になっていた。
ヤクザの用心棒に成り下がった「ウルフ金串」を偶然、目撃するジョー。
乱闘騒ぎ後、喫茶店に居るチンピラとウルフ。
離れた席で、独りのジョー。
そこに、さっきの乱闘を起こした敵対するヤクザが現れる。
仕返しである。
仕返しをしに来たヤクザから、金で雇われた「権藤」も同席する。
ボクシングを諦め、ヤクザの用心棒になっていたウルフ金串。
喧嘩を仕事として用心棒に雇われた権藤。
殴られる権藤。
G:「へへへ、流石元新人王のパンチだって言いてぇとこですが、
同じバンタムでもそのパンチじゃあ、あの矢吹丈のように力石は殺せねーな」
の発言がウルフに火を点ける。
パンチをかわされ、その隙に顎への蹴りで顎が砕けたウルフ。
結果は、ウルフの一方的な負け。
そんなウルフに、まだ襲い掛かる権藤をジョーが止める。
J:「いい加減にしねぇかい、相手はもうとっくにくたばってるんだ」
この時に権藤は、コイツは強い、そして「矢吹 丈」だと気付く。
相手になろうとしているジョーに向かって権藤は。
G:「おっと早まるな、あんたとはゴロはまかねぇ。あんたには勝てねぇ
俺は勝ち目の無いゴロはまかねぇ主義でね。」
J:「何ぃ、じゃあ、ウルフには勝ち目があると踏んだって言うのか?
俺もウルフも同じ元ボクサーだぜ。」
G:「まあね、同じ元ボクサーと言ってもいろいろあるからね。
奴とあんたじゃ雲泥の差だ。奴の目は腐ってやがった、
過去の華やかな思いでを振り返ることしかしらねぇ
詰まらねぇ目をしてやがった。
あの目を見て奴には負けねえってね。」
J:「気に入らねぇな。ハッキリ勝てると分かってる相手を、
なぜあれほどまでに叩きのめす必要がある」
G:「嫌いでね。ああいうタイプ。たった一度負けて、けつまづいて、それっきりの奴」
J:「気に入らねぇな!」
とゴロマキ権藤に3発のボディブロー、うずくまる権藤。
J:「さぁ、もう一言でもウルフの事言って見ろ!
間違いなくこの場でぶっ殺してやるからな!」
G:「効いたぜぇ、てぇしたもんだ。ボクサーのパンチってのは、こうじゃなくちゃな」
とその拳が腐っていなかったことを認める。
そこへパトカーが現れジョーを誘って裏窓から逃げる二人。
外は雨。
ほとぼりが冷めるまで雨宿りをする二人。
G:「これから、どちらへ」
J:「別に決まっちゃいねぇよ」
G:「そうですか、実は商売柄と言っちゃあなんですが私、
試合は、よく見るんですよボクシングのね」
J:「・・・・」
G:「さてと、だいぶ小降りになってきた。じゃあ、先に行かせてもらいますよ」
J:「・・・・」
G:「あんたの試合、出来たらまた観てぇ、そう思っています。」
J:「・・・・」
雨粒が軒下に落ちる。
その雨粒を拳で殴るジョーが居た。
暫く後、ジョーの心の中で何かが動いた。
J:「(たまには寄ってみるか)」と泪橋へと帰っていくジョーがいた。
~あしたのジョー2 第1話「そして、帰ってきた・・・」より抜粋~
やはり、冒頭で述べた罪を重ねてきた少年ではあるが、
今までの対戦相手への「情」、「想い」はジョーの言葉を借りて言うなら
「バンタム級」の枠組みでの絆や人間らしさ等の
”何か”を直観的に感じ取れる。
初対面の権藤でさえ、直観的に感じ取っているのか?
単なるボクシングファンなのか?と思われる部分はあるが、
別れ際に、” あんたの試合、出来たらまた観てぇ、そう思っています。”
と、言い去って行った部分を考えると、
かなりの確率でジョーのカムバックを予測していたと考えられる。
たった、これだけの文章(会話)だが、
権藤の言葉には多くのキーとなる言葉が入っている。
「奴の目は腐ってやがった。」
「過去の華やかな思いでを振り返ることしかしらねぇ
詰まらねぇ目をしてやがった。」
「たった一度負けて、けつまづいて、それっきりの奴。」
「あんたの試合、出来たらまた観てぇ、そう思っています。」
ウルフに対する中傷とも取れるが、
最後にはジョーを激励するような言葉を吐いている。
カウンセラー、セラピストとして着目すべきは
ウルフに対する中傷の部分です。
実際にカウンセリングを行う時もそうですが、
街で出会う人や親戚縁者など多くの方々の目は、
このブログで言うところの腐った目をしている人が多いです。
昔は、皆、もっとギラギラした目つきをしていた様に思います。
つくづく思うのは、
特に青年~20代後半の方々に物凄く多く感じられます。
俺らの若い時ってもっとギラギラしてたよな!?
なんて、友人に聴く事も多くなりました。
そんな世の中ですが、皆さんもっとギラギラして
キラキラ輝いて行きましょう!
心を和らげる相談室 HEART 代表 杉野 茂広
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