2020年03月03日
Aさんの2回目のセッション)
Aさんは、遅れることなく2回目のセッションに来てくれました。
しかし、表情は どこか晴れていませんでした。(浮かぬ顔をしているのは、経過が上手くいっていない証拠です)
Aさん、こんにちわ。
「B君との関係に変化はありましたかありましたか?」・・・と尋ねてみました。
Aさんは、首を横に振るだけで無言でした。
「どうされましたか? 今日は先日よりも暗く見えますが、事態は好転しませんでしたか?」
聴くところによると、B君は仕事面では「パワハラ発言」をしなくなったそうですが、
Aさんは、良かれとおも思い ”ボールペンと手帳” をB君に手渡し「大切な事、受けた指示の内容、誰に報告するか」などを「メモにして書き留めておくように指導した」らしいのですが
そこで、B君が怒り出したと言うのです。
「馬鹿にしないでください、僕、大卒ですよ! 係長、高卒ですよね!」と、学歴の話になったそうです。
勿論、AさんはB君を馬鹿にしていた訳ではなく、御自身が教育された過程と同じ過程で一人前になってもらおうと思い ”ボールペンと手帳” を渡したらしいのですが・・・「学歴を馬鹿にされた」・「親切心を踏みにじられた」感情でいっぱいになったそうです。
S:確かに、これもよく聴く話です。
今、”必要以上に、学歴に拘りを持っている新入社員が沢山居る事は、マスコミやいろんな文献から見聞きしています”
そんな、彼ら彼女らが自ら
「希望の会社に就職しても、私の”やる仕事ではない” と、勝手に自分の中で判断される」事例が
多くあることは知っていました。
では、どうしてそんな言葉が出てくるのでしょう?
Aさん? これについてAさんなりの意見はお持ちですか?
A:私は、彼がどの職でどこの地位を目指しているのか知りません、ただ言えるのは「段階がある」と言うことだと
思っています。
S:段階? Aさんの思っている段階とはどの様なものか教えて頂けませんか?
A:(沈黙が続く)2~3分程度
S:Aさんの考えで、Aさんの口調で構いませんので、教えて頂けないでしょうか?
A(暫くの沈黙後)
はい、今の学卒は口ばかり達者で、行動が伴っていないと思っています。
・・・・
確かに、私は高卒ですが「どなたに媚びを売ることもなく、上司に認められて係長を任された と、
胸を張って言えます。」 それは、先輩方・上司の教育のお陰とも思いますし、自分も努力しました。
最初から、出来る人間など居ないと言い切れます。 どこか ”うぬぼれている様に” 思えて仕方ありません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
誰だって、最初は1からなんですよ! でも、アイツ等は10や20からスタートしようとするんですよ。
それを、「1からだ!!」と説明するのも私の役目なんでしょうが、学歴の事を言われると・・・・
実際、私は普通科卒ですから。(怒りと涙でした)
S:そうですね、私もAさんの立場上の辛い気持ちと、工場内での指導の難しさは理解しているつもりでしたが、
Aさんのお話を聴いていると私の思いと重なる部分は沢山ありました。
それに、辛い思いを独りで抱え込んでいるのが、よく伝わってきました。
A:(まだ、泣いておられます)
S:Aさん? これまで、お仕事の話を聴かせて頂いてましたが、・・・趣味はお持ちですか?
A:・・・・趣味と言いますか、・・・・・身体を動かす事は好きです。
今の時期だと、日曜日は 殆どソフトボールしてます。
S:どこかのチームに所属しておられるのですか?
A:ええ、いつも行く 焼き鳥屋さんの常連さん達でチームを作っています。
S:いい、コミュニケーシの取り方だし、ストレス解消にも繋がっている様に感じられますが、
御自身では、どう思いますか?
A:私も、そう思っています。
S:でも、御身体には注意してくださいね。
A:はい、ありがとうございます。
(少し脱線)
S:Aさん、お仕事の話に戻してよろしいですか?
A:はい。
S:Aさん、あくまでもこれは私の意見ですが、Aさん以外でB君の面倒を見られる方はいらっしゃいますか?
A:B君のリーダーのHさんが居ます。
S:先程、言いましたが私の個人的な意見ですから聞き逃してもらって構いません。
暫く、Hさんの元にB君を面倒みて貰うのはどうでしょうか
でも、全くの任せっきりは駄目ですよ。
時々、声掛を忘れないで下さい。
A:それは、お願いすれば可能ですが・・・Hさんに、反対に迷惑が掛かるのではないでしょうか?
S:それも、考えられますが、何よりB君に今までとは異なった指導方法になるでしょうし
B君をHさん視点から見て貰えて意見交換が出来る様になると考えます。
そうなると、お二人が一人を見ているので多角的にB君を見られるようになりお互いに一時期、距離をおけま す。
A:そうですね、その事は上司に
S:可能なら伝えなくていいです。・・・ここに来ている事も内緒にしてあるでしょう?
A:はい、そうなんです。 こんな事でなやん悩んでいたら上司に なんと言われるか心配で。
S:大丈夫です。 守秘義務がありますから。 こちらから漏れる心配はありません。
では、お時間ですので今日は、ここまでで。
A:ありがとうございました。
S:ありがとうは、Aさん自身が満足いってからでいいですよ。
来週からも頑張って下さい。
・・・と、Aさんは帰って行かれました。
本来、気付きを与えるのがカウンセラーの役割ですが、この回は意見を出してしまいました。
この場合、Aさん自身が先に病んでしまっては元も子もなくなる様に感じたからです。
しかし、最近の大学生って「知恵」=「悪知恵」だけが先行してしまい、イイ子も沢山居るのですが、
一部の悪い子達が目立ってしまい勿体ない気がします。
それに、「会社と言う組織に入った以上、学生気分や学生の言い分は通りませんよ」
これから社会人になる人、頑張って先輩達について行って下さい。
心を和らげる相談室 杉野
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