2020年02月24日
ここ何年かで、急激に増加傾向にあるのが、パワハラに関連する事例です。
なかでも、役職者についておられる方で「直接部下とのやり取りをする」中間管理職でも下位にあたる
係長、課長職の方が最も多いのが現状です。
その方々の悩みの主訴は「ほとんど、同じ」です。
・部下が言う事を聴いてくれない。
・仕事を指示すると「それって、パワハラですよね」と返されて、どうして良いのか分からない。
・部下が、いつまで経っても成長せず、注意するとパワハラと言われてしまう。
などなど。
いったい、どの様にパワハラと言う言葉を社会人、また「これから社会人になる方」は理解しているのでしょう。
ある、企業に講習に伺った事がある。
そこで講師をしていた方が言うには「皆さん、パワハラ、セクハラは御存知ですよね」
「あの言葉をつくったのは、実は私共の会社なんですよ」と、得意げに披露していたが、私には情けなく映った。
言葉だけが、一人歩きし、意味も理解していない人ほど「このセリフ」を言いたがる。
「その言葉で、まともに機能していない企業、部署がある」と言うことは認識していない様に感じとれた。
中身は薄っぺらなもので「パワハラ、セクハラはいけません・・・・」レベルの内容でした。
(物凄く、期待外れな講習でした)
確かにハラスメント自体がいけないこと事であるという認識は「皆さん、心得ているようです。」
これから社会人になる方々、良く理解した上で社会に翔いていってください。
本来、無暗に使う言葉ではありませんよ。
事例1:一回目のセッション)
ある工場の係長であるA氏の場合
新入社員(B君とします)に課内でも、取り扱いの簡単な専用機の使用を認め、機械の特徴、注意点、非常停止の位置、安全第一で仕事をするよう、そして、「ここに、置いてある部品を加工し終えたら連絡にくるように指示」を出したそうです。
その作業に掛かる時間は、慣れている者で約1時間もあれば完了する作業量だったそうです。
しかし、4時間~5時間経ってもB君から「終わりました」の報告は、なかったそうです。
「何か、あったのかのか?」と心配になり現場に向かうとB君は、機械の前でボーッと立っているだけ。
A氏は、何?と思い、離れた場所からB君の様子を伺って居ましたが、ただただ、ボーッと立っているだけ。
流石にA氏も「何、してんだ!」と、声を掛けたそうです。
その際に、「作業が終わったら、私に連絡すように頼んであったよね?」と、確認しましたが、
B君の言い分は「どうして、僕の方から報告に行かなといけないのですか?」
更に、「作業が終わる時間くらい ”係長” なら分かるんじゃないですか?部品は、とっくに無くなりました。」
だから、指示されるまで、持ち場を離れずに待っていたそうです。
それから、何度も「同じ内容で意見が対立するようになり」
最終的には、「それって、係長のパワハラですよね」とB君に言われ、言い返す言葉が無かったそうです。
パワハラと言う言葉に過敏になっている今の企業内の象徴でもあるな、と私は感じました。
多くの役職者は、この言葉を聴くだけで口数がへります。
でもA氏は、私を訪ねてくれたのです。
以下 Sは私です。
では、Aさんが新入社員であった時はどうでしたか? と尋ねました。
A:私の時代には「パワハラ」という言葉じたいがありませんでした。
S:そうですね、昔はなかったですものね。
S:では、B君と同じ状況になった場合、Aさんはどの様な行動をしましか?
Aさんの新入社員時代のことで構いませんので教えて頂けますか?
A:私の時代は、恐らく同期の者や、それに近い年代の者はメモ帳を持っていていました。
S:あ、私も同じでしたよ。 Aさんは、その手帳に何をメモっていたのですか?
A:私は、今の様に上司から直接指示を受ける事はなかったです。
どちらかと言うと、職場の先輩に指示をされて動いていた気がします。
当時の先輩方は怖くて「なぜ、メモを取らん!」と、よく怒られてました。
S:Aさん、実は私も最初に働いていたのは工場なんですよ。
おっしゃる通り、バブル時代の先輩って怖かったですよね。
Aさん? もう一度、伺ってもよろしいですか?
A:はい、なんでしょう。
S:Aさんが、メモを取っていたのは、どんな理由があるのですか?
A:忘れない為です。
S:どの様な事を忘れない様にメモされていたのでしょうか?
A:機械の立ち上げ方とか、非常停止の位置、一番大切なのは先輩からの指示の内容ですかね。
報告が遅れたり、仕事が遅いと、直ぐに叱られましたから・・・。
S:今、直ぐに叱られたと仰いましたが、「今も叱られた」と言う言葉が適切だと感じておられますか?
A:いいえ、私の表現と言うか、言い方というか・・・・。(暫く沈黙)
今は、指導の一環だったと思います。いえ、指導だったと思えます。
S:そうですか、「叱られていた・怒られた」と言う表現がかなり出てきましたが、
今は「指導の一環と思えるのですね」。
では、次にB君の事についてお尋ねしても宜しいでしょうか?
A:新採当時は、素直でいい子が配属されて良かったと思っておりました。
ですが、日々一緒に職場に居ると「何、やっているんだ!」と思える機会が増えて行きました。
何か、、、(沈黙が続く)
仕事をする気があるのか、ないのか、こちらから見ていて分からない時もあります。
時には、叱責と思わる事もします。でも、私は彼の事を想い・・・(沈黙が続く)
しかし、パワハラと言われる行為はしていません。
S:では、パワハラについてはどの様な認識をお持ちですか?
A:どの様に対応しても、「相手がパワハラと感じた時点でパワハラと思っています」
S:そうでしたか、でも定義はあるのですよ。
職場のパワーハラスメントとは
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
以上の事を説明しました。
しかし、Aさんは「職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景」の部分に反応しました。
A:職場内での優位性(=自分が係長の立場である ことだけに目が行ってしまったようです。)
ではパワハラにあたるのですか?
S:いいえ、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる
行為をいいます。
ですから、「業務の適正な範囲を超えて」と言う所がポイントになります。
業務上、適正な範囲であれば ”相手“ がパワハラと言おうが、なんと言おうが
「業務命令」として指導できると考えられるのです。
あまり、あってはならない事ですが、”パワハラ”と指摘された場合、
これは、業務命令です。と、返せる訳です。 それでも”パワハラ”と言われれば
「では、職場放棄されるのですね。」と確認してみてはどうでしょう。
パワハラと言う言葉に怯える必要などないのです。
A:なんとなくですが、理解出来た気もします。 明日からやってみます。
と、この様な事例が後を絶ちません。
職場では、上司に従うのが、鉄則ですが、反対に上司と言う立場を利用し、いろいろな事を強要してくれば”パワハラ”として成立します。 就職前の学生さん、むやみに上司に”パワハラ・セクハラ”と言う前に定義を思い出してください。 そして、上司の方も、毅然とした態度で接してください。
双方に言える事は、なによりも、コミュニケーションが一番大切ということです。
心を和らげる相談室HAERT 代表 杉野茂広
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